1. はじめに
Raspberry Pi OS には、インストール済のアプリケーションの数によって Full 版、通常版、Lite 版の 3 種類があります。 本書の旧版では、Full 版の利用を推奨していましたが、必要な microSD カードの容量が増大するに伴い、現在は通常版の利用を推奨しています。Lite 版はインストール済のアプリケーション数が最も少ないバージョンですが、グラフィックを用いたデスクトップがデフォルトで起動しない(インストールもされない)という上級者向けなバージョンであるため、初心者向けの本書では利用を推奨しませんでした。
その一方で、本サポートサイトでは、下記のページで Raspberry Pi にディスプレイ、キーボード、マウスを接続せずに用いるヘッドレス(headless)な運用方法を解説してきました。 実は、上記 2 ページをマスターすると、Raspberry Pi OS の Lite 版を利用する知識が自然と身についています。本ページではRaspberry Pi OS の Lite 版で本書の演習を実行する際の注意点を解説します。
Raspberry Pi OS の Lite 版を用いるメリットは以下のようになるでしょうか。
- インストールする OS のサイズが小さいので、OS のダウンロードとインストールにかかる時間が短い
- インストール済のアプリケーション数が少ないので、microSD カードの使用量が少ない
(ただし、追加でアプリケーションをインストールしていくと、通常版と大差ない使用量になり得る) - インストール済のアプリケーション数が少ないので、OS の更新にかかる時間が短い
- グラフィック描画用のライブラリがデフォルトでインストールされていないので、使用メモリ量が小さい
- 自分が必要とするアプリケーションのみがインストールされている状態が(人によっては)気持ち良い
その一方で、性能の低い Raspberry Pi Zero シリーズや、旧式の Raspberry Pi を利用する場合、この Lite 版の利用を検討する価値はあるでしょう。
それでは、やっていきましょう!
2. Raspberry Pi OS の Lite 版のインストール
下記のページの手順に従い、Raspberry Pi Imager でインストールします。Raspberry Pi Imager は最新版を用いるようにしてください。 その際、「OSを選ぶ (CHOOSE OS)」選択肢は、下記のように「Raspberry Pi OS (other)」を一度選択します。 そして、切り替わった画面で「Raspberry Pi OS Lite (64-bit)」または「Raspberry Pi OS Lite (32-bit)」を選択してください。 OS と microSD カードのドライブを選択した後は、「Raspberry Pi をヘッドレスでセットアップする」の解説に従い、ユーザー名、Wifi接続の設定、日本語キーボードの設定、SSH の有効化などを Raspberry Pi Imager で行うのでした。インストール後に OS を起動した後は、上記のページに従い、TeraTerm などのターミナルソフトウェアで接続し「sudo raspi-config」コマンドで日本語化の設定まで行ってしまいましょう。
インストールの解説は以上です。
3. Raspberry Pi OS の Lite 版で本書の演習を行う際の注意
ここから先は、Raspberry Pi OS の Lite 版で本書の演習を行う際の注意点を述べていきます。Lite 版ではデフォルトでインストール済のアプリケーション数が少ないので、いくつか追加で実行すべきことがあるのです。インストール後の設定
まず、インストール直後は下記のコマンドで OS を最新にしておきましょう。sudo apt update sudo apt -y dist-upgradeサンプルプログラムをダウンロードするためには、git コマンドを下記でインストールしておく必要があります。
sudo apt -y install git
5章のカメラを用いる演習 05-04-sw-camera.py
このプログラムは、OpenCV をインストールする必要があるのですが、そうすると、グラフィックなどのライブラリ (X11関連など) が大量にインストールされるので、あまりお勧めしません。 Lite 版の良さが失われるためです。それでも実行したいという場合、下記のように picamera2 のライブラリもインストールしておく必要があります。OpenCV のインストール方法は書籍と同じです。sudo apt -y install python3-picamera2
5章の音声を用いる演習 05-05-sw-mp3.py
このプログラムは、MP3 により音声を鳴らすのですが、Lite 版はデフォルトでは音が鳴りません。音を鳴らすためのライブラリをインストールすると、一緒にグラフィックなどのライブラリ (X11関連など) が大量にインストールされるので、あまりお勧めしません。 Lite 版の良さが失われるためです。それでも実行したいという場合、下記のライブラリもインストールしておく必要があります。mplayer のインストール方法は書籍と同じです。sudo apt -y install pulseaudio pipewire-pulse
6章 SPIを用いるプログラム
6 章で SPI を用いるプログラムを実行する場合、「sudo raspi-config」を実行し、下記の手順で SPI を有効化する必要があります。- ↓を2回押して「3 Interface Options」にフォーカスがあっていることを確認してEnter
- ↓を3回押して「I4 SPI」にフォーカスがあっていることを確認してEnter
- 「Would you like the SPI interface to be enabled?」という質問に対して ←を1回押して「はい」にフォーカスがあっていることを確認してEnter
- 「了解」にフォーカスがあっていることを確認してEnter
- TABキーをニ回押し、「Finish」にフォーカスを合わせEnter
7章 I2Cを用いるプログラム
7 章で I2C を用いるプログラムを実行する場合、まず下記のコマンドで必要なライブラリやツールをインストールする必要があります。sudo apt -y install python3-smbus i2c-toolsさらに、「sudo raspi-config」を実行し、下記の手順で I2C を有効化する必要があります。
- ↓を2回押して「3 Interface Options」にフォーカスがあっていることを確認してEnter
- ↓を4回押して「I5 I2C」にフォーカスがあっていることを確認してEnter
- 「Would you like the ARM I2C interface to be enabled?」という質問に対して ←を1回押して「はい」にフォーカスがあっていることを確認してEnter
- 「了解」にフォーカスがあっていることを確認してEnter
- TABキーをニ回押し、「Finish」にフォーカスを合わせEnter
以上、お疲れさまでした!
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